らぽさんです。
本日紹介する本はこちら。
株で資産3.6億円を築いたサラリーマン投資家が教える 決算書「3分速読」からの“10倍株”の探し方
以前、会社四季報の速読の記事で参考にさせていただいたはっしゃんさんの新刊ですね。
さっそく読ませていただきました。
【この本で感じたこと】
- 決算書に触れたことのない全くの株初心者だと少し難しいかも。
- 投資に近道はない。
- 読んで「なるほど」で終わらせたくない。
- 投資における「聖杯」は自分で模索し、試行錯誤して磨き上げていくしかない。
決算書を読み解くことで、10倍株候補を探していく物語
本著の概要としてはタイトルそのままですね。決算書を読み解きながら将来の大化け株(テンバガー)を探していくというものです。
決算書に触れたことのある人なら、決算書の効率的な見方について深く学べると思うのですが、まったくの株初心者だとすんなり理解というわけにはいかないかもしれません。
個人的には自分なりに投資をやってきて、試行錯誤の末に壁にぶつかって「やっぱりファンダメンタルを勉強しなければ!」と思った時に出会いたい本じゃないかと。その時に欲しい情報がぎゅっと詰まっているので、吸収も早いと感じます。
さて、簡単にポイントだけ記載します。
3分でできる成長株の探し方
5年前の決算短信1ページ目先頭の売り上げ・経常利益の伸びを読む。
- 売上が5年連続で増収になっていること
- 経常利益が5年連続で増益になっていること
詳細は本書をぜひお読みください。
なぜ決算書を読み解くことでテンバガーに巡り合える可能性が出てくるのか、その構造的な仕組みについてわかりやすく書かれています。
ちょうど先日、泉田良輔さんの本について書評を書きましたが、この本と内容が通じる箇所が多々ありました。なので読み進めていてとてもすんなり入ってきましたし、特にROEの箇所は理解が深まりました。はっしゃんさんの本を読んだ後に、泉田さんの本を読むとよりわかりやすいかもしれません。
ROEが高いということは株主資本をより多く積み上げることができ、それを複利で回していけば株主資本が増加するにつれ株価の下値が切り上げられていく。
テンバガーを発掘するにあたっては、高ROE体質ということはやはり着目すべき点だと感じました。
株価が3年で2倍となるためには25%以上の成長が必要という点も、泉田さんの著書に記載されている内容と同じであり、成長率の高さはテンバガー発掘にあたり重要な要素ということも再認識しました。
外国人ファンドマネージャーが聞いてきたように、ROEを毎年25%達成できる企業の株主資本が3年後にどれくらいに増えているのかを見てみましょう。~中略~
3年後の株主資本=100×1.25×1.25×1.25=1.95
このように、ROEが25%の企業が3年続けてその数字を達成すれば、株主資本は約2倍になることがわかります。
「予想」のいらない株式投資法 泉田良輔 著 P65より引用
ベイカレントの決算書の説明のくだりでは「ベイカレの業績すげーw」と思いながら読みました笑
あと個人的に面白かったのがライザップの「負ののれん代」のくだりです。利益と営業キャッシュフローの食い違いを見ることで、利益は決算書上出ているはずなのに実態としての利益収入が計上されない仕組みを理解出来ました。
決算書というだれでもアクセスできるデータの中に、宝は眠っている
本書でとてもいいなと思った点は、株価が大化けした企業の決算書を過去数年にわたって具体的に解説しているところです。かつ、成功例だけではなく失敗例も挙げられているため、同じ轍を踏まないよう決算書を読み解く重要性が伝わってきます。暴落した銘柄もこうして決算書を読み解くと、確かに理由のある暴落だったのだなと腑に落ちました。
月次情報もチェックしたりすることで、そうした企業業績の不振を感じ取れるのも面白いですね。そういう細かいチェックの積み重ねが大きな投資成果につながるのではないでしょうか。
本書を読むことで、テンバガーの成長ストーリーを疑似体験することができ、それが未来のテンバガーを発掘する道しるべになるのではないかと。(もちろん、後述するように地道な努力が必要ですが)
キャッシュフロー計算書を読み解くチャプターでも実例を挙げて説明してくれているので非常にわかりやすいです。
「なるほど」で終わらせるのではなく、少しづつ自分だけの投資の聖杯を磨き上げていく
読んで終わりではなんの意味もない
ということで、本書では決算書の読み方を取り上げつつ、最終的には自分で決算書を読み込んで分析のスキルを上げていくことが大事と述べています。
そのためにもはっしゃんさんの開発した各種ツールもホームページで公開しているということなので、すごいお膳立てですよね。やり方だけ教えられただけでは難解かもしれないけど、こうして分析に必要なツールも公開されているので非常にありがたい。
あとは実際に手を動かし始める人と、読んで満足して終わる人に分かれていくんでしょうね。
ここで僕の話になりますが、今年に入ってからスイングトレードに挑戦して主にテクニカル面を投資の根拠にしていました。
まだ経験が浅いということもあるかとは思いますが、かなり負けています。
やってきた中で、テクニカルをメインに売買すると値動きに狼狽させられやすいという自分の弱みに気付き始めています。短期での投資になるせいか、相場の値動きに右往左往させられるのが正直ストレスになっていました。
それで今一度、投資のスタイルをまた考えていかないとなとちょうど思っていたところなんですよね。(スイングトレードに限界を感じているということはまた別記事でも書こうかと)
株価は需給で決まるのでテクニカルも大事だとは思うのですが、もっと再現性が高く、自分もどっしりと落ち着いてできる投資をしたいと最近は強く思っています。そうなるとやはり本書で述べているような着実に決算書をベースに企業の本来価値と将来性を探っていくスタイルがいいのではと感じています。
もちろんこのスイングトレードであーだこーだしてきた経験も無駄ではなく、おかげでこの本もすんなり読めるくらい知識はつきました。それにこういう経験を経ているからこそ、こっちの投資スタイルのほうが自分に向いているんじゃないかと直感で感じるんですよね。
先日、上記で挙げた泉田良輔さんの「予想のいらない株式投資法」も読んだおかげで、この思いが自分の中では間違っていないということを再認識しました。
得られた知識を元に、今後は実際に手を動かしてまた投資に取り組んでいくつもりです。
近道はなく、自分なりに決算書を読んで分析の方法を学んでいくしかない
というわけで、はっしゃんさんの新刊について記事にさせていただきました。繰り返しになりますが、実際の決算書の数字を使って読み方が解説されているので、とてもわかりやすいです。
自分も読んで終わりではなく、手を動かしながら一歩ずつ投資家として知見を深めていこうと今一度心に誓いました。時間はかかるかもしれませんが、少しづつ、自分だけの投資における聖杯を磨き続けていきたいですね。
最後に印象に残った本書のくだりを紹介して終わりたいと思います。
決算書を読むことは自分に合った成長株を探し、投資家としての幅を広げて得意分野を育むという意味でも重要なプロセスです。
本書 P40より引用
それではまた。
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